星の王子さま
私は小さい頃、星の王子さまが好きではなかった。
「大人が書いた子供心の話」というのが気に食わなかった。
「大切なことを思い出す。」
「あの頃の心に戻る」
などという帯を見ると、更に嫌気がさした。
どうせ大人が書いたんだろ。何がわかる。と。
大人が思い出せる範囲の純粋さを敷き詰められている気がして、嘘っぽく、胡散臭く感じられていた。
「私なら、更にこう感じますけどね!」と、一人で勝負を挑んでいた。
ちょっと捻くれた私は、そういった類のものに何かと突っかかっていた。
伝わらない想いや、大人の理不尽さに悶々としていた私は、
そんな「搾取する大人」が子供の純粋さという蜜だけ見て、都合よく浸ろうとする姿勢に、お腹の底から湧き上がる怒りを感じていた。
そう、つまり私は、「星の王子さま」にではなく、
「星の王子さまが好き」と言っている大人に
ムカついていたのだ。
星の王子さまがいい話とか、真理だとか、そうでもないだとか、
そういう土俵の話ではなかったのだ。
ただ、あの頃の私には格好の餌食だった。
今、パラパラと読み返し、
ああ、そういうことか。と思う自分がいる。
「いい言葉風」と思っていた言葉に、純粋に心打たれる自分がいる。
また、「これは、こういう本なんだ」と、自分の中で分類分け出来た時点で、すんなりと受け入れられるようになっている自分がいる。
きっと、読み終えた頃の私は、感動した!
だとか、染みるようになったわー。
だとか言ってるのかもしれない。
これは主に大人へ向けられた本だ!別に子供心を書こうとしていた本ではない!
とまで言っているかも。
ああ、大人になってしまったんだ。と思った。
しかし、
わかってもらわれてたまるか!
と、心の隅で角を出している自分が、まだどこかにいる。
ps.
星の王子さまが好きなみなさん、ごめんなさい。
これは感想文ではなく、私もまだ数ページ読み返したくらいなので、何もわかってないですからね☆